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【借主向け】アパート取り壊しによる立ち退き料の相場|流れ・注意点等も解説

コラム/[更新日]2024年11月28日

【借主向け】アパート取り壊しによる立ち退き料の相場|流れ・注意点等も解説

アパートの老朽化などを理由に、建物が取り壊されることがあります。
その際、入居者の方は大家から立ち退きを求められることになります。

このような大家都合の立ち退きでは、実務上、立ち退き料が支払われるのが一般的です。

 

ただ、最初に提示される立ち退き料が本当に妥当な金額なのか、それとも少し低めに見積もられているのではないかと不安に感じる方も少なくないでしょう。

そこでこの記事では、アパート取り壊しに伴う立ち退き料の「相場」について、わかりやすく解説していきます。

 

 

アパート取り壊しにより立ち退き料はもらえるのか?

結論から述べると、アパートの取り壊しによる立ち退きでは、入居者は大家から立ち退き料を受け取れる可能性が高いです。
弊所の立ち退き交渉事例を簡単にご紹介します。

・賃料5.6万円の賃貸アパート:150万円の立ち退き料を獲得(東京都新宿区)
・家賃13万円の賃貸アパート:625万円の立ち退き料を獲得(東京都大田区)
・家賃4.8万円の賃貸アパート:330万円の立ち退き料を獲得(福岡県志免町)
・賃料8万円の賃貸アパート:720万円の立ち退き料を獲得(東京都渋谷区)
(その他の事例はこちら

このように、アパートの取り壊しは原則として大家都合の解約に該当するため、交渉次第で相当額の補償を受けられるケースがあります。

法的には、入居者の居住権は借地借家法によって強く保護されています。
立ち退きは居住の利益を一方的に失わせる行為にあたるため、貸主の都合だけで自由に退去させることはできません。

法に則って大家が入居者を退去させるには、立ち退きを要請する「正当事由」を提示する必要があります。
そして多くの場合、その正当事由を補うのに十分な立ち退き料を支払うことになります。

ただし、アパートが倒壊の危険があるほどに老朽化している場合(詳しくは後述しています)など、正当事由が認められるケースでは、立ち退き料は少額になる可能性があります。

正当事由について詳しく知りたい方は、【賃貸の借主向け】立ち退きの正当事由を弁護士が徹底解説をご覧ください。

 

正当事由と立ち退き料の関係

前述のとおり、アパートの取り壊しをはじめとした大家都合での立ち退きでは、入居者には立ち退き料が支払われるのが合理的です。

とはいえ、立ち退き料の支払いは法律で定められたものではありません。そのため大家にはその法的な支払い義務はないのですが、多くの立ち退きでは立ち退き料が支払われています。
なぜなら、立ち退き料は立ち退き要請に必要な「正当事由」を補完するためです。

借地借家法第28条では、次のことが定められています。

・大家が入居者に立ち退きを求めるには「正当の事由」が必要である
・財産上の給付(立ち退き料の支払い)により「正当の事由」は補完することができる

つまり、立ち退き料を支払うことで、大家は立ち退き要請に必要な「正当事由」を補うことができるのです。
多くの大家都合による立ち退き案件で立ち退き料が支払われるのは、上記の法律により、大家には正当事由を補完する必要があるからと考えると良いでしょう。

 

「正当事由」の強度は立ち退き料の金額に影響する

前述の借地借家法第28条の内容からわかるように、正当事由の強さと立ち退き料の金額には、次のような関係があります。

正当事由が弱ければ、立ち退き料は高くなる傾向にある
正当事由が強ければ、立ち退き料は安くなる傾向にある

もう少し分かりやすく説明しましょう。

たとえば、建物がまだ十分に住める状態であり、特に古くなっている部分がないにもかかわらず、老朽化を理由に退去を命じられたとしましょう。
この場合立ち退きの正当事由は弱いため、強気に立ち退き料を請求できる可能性があります。

 

一方で、「建物の柱が腐食している」「雨漏りがひどい」といったように、老朽化が進んで居住に支障が出ている場合を考えてみます。

この場合、大家側の立ち退き要求の「正当事由」には、一定の説得力があります。こうしたケースでは、立ち退き料が低く見積もられる傾向があります。

このあたりの判断は、弁護士の実務感覚も参考になりますので、弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

 

アパートの老朽化は正当事由になるのか

アパートの「老朽化による取り壊し・建て替え」が、立ち退きの正当事由として認められる可能性はあるのでしょうか。

実は、ただの老朽化では正当事由として不十分であるケースがほとんどです。老朽化が正当事由であると認められるためには、居住に危険が及ぶ程度に老朽化が進行しており、取り壊しが急がれるような状況である必要があります。

よってアパートが築40年や50年であっても、居住に問題が無ければ立ち退きを拒否することも可能である場合がほとんどです。

ただし前章でご紹介したとおり、財産上の給付(立ち退き料の支払い)により正当事由は補完することが可能です。つまり、相応しい額の立ち退き料を支払えば、その正当性が強化され、立ち退き要請が認められる可能性はあるということです。

 

 

アパート取り壊しによる立ち退き料の「相場」

結論から言うと、立ち退き料に明確な「相場」はありません。

アパートの取り壊しなどといった大家都合の立ち退きで支払われる立ち退き料の金額は、ケースバイケースです。

他サイトではよく「相場は家賃の6〜12ヶ月分程度」と紹介されていますが、実務経験からすると不正確です。

 

立ち退き料での補償対象となる転居費用や新居契約費用、迷惑料の金額はもちろん、「なぜアパートを取り壊すのか」「入居者がその物件に住む必要性はどれくらいか」などの個別事情によっても、支払われるべき立ち退き料の金額は大きく異なります。
そのため、立ち退き料の金額は同じ物件の入居者間でも差が生まれます。

下記は、弊所の交渉事例です。

・東京都渋谷区の家賃8万円のケース:大家の提示額100万円→720万円を獲得
・東京都目黒区の家賃7万円のケース:大家の提示額42万円→222万円を獲得
・福岡市博多区の家賃3.3万円のケース:大家の提示額10万円→270万円を獲得
(その他の事例はこちら

このように、家賃の単純な掛け算では説明できないケースも多々あります。

大家側としても「家賃の○ヶ月分」という通説を持ち出し、できるだけ安く立ち退かせようとするケースが一般的ですので、十分な注意が必要です。

 

もし「提示された立ち退き料が妥当かどうかわからない・・・。」という方がいらっしゃいましたら、立ち退き料の概算をお伝えすることも可能です。

まずは、お気軽にご相談ください。

エジソン法律事務所・立ち退きホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

 

アパート取り壊しによる立ち退き料の内訳

立ち退き料に含まれる補償の内訳として、よく下記の様な項目が用いられます。

・転居費用:引越し代や設備の移転、不用品処理費用など
・新居契約費用:敷金や礼金、仲介手数料、保証料など
・家賃差額:転居前後の家賃の差額
・その他補償:迷惑料など

上記の転居費用や新居契約費用については、その地域・時期での同条件での引越し代や敷金・礼金などの相場価格をもとに算出されます。

立ち退き料の計算方法については、「立ち退き料の計算方法|引越し費用・家賃差額・迷惑料まで徹底解説」にて解説しています。

 

立ち退き料では、一定期間における新居と旧居の家賃差額も補償対象です。例えば、家賃8万円のアパートから立ち退きにより家賃10万円のアパートに移るにあたって、6ヶ月分の差額補償が受けられる場合、入居者は12万円(2万円×6ヶ月)の家賃差額を受け取れます。
何ヶ月分・何年分の家賃差額が補償されるかはケースバイケースなので、交渉時にはよく確認しておくようにしましょう。

さらに、立ち退き料には立ち退きに対する迷惑料も含まれます。この金額もケースによって大きく異なり、場合によっては上記項目の中で最も高額になる可能性もあります。
迷惑料の金額は交渉の影響を受けやすいことを考えると、十分な立ち退き料を受けるためには、専門家に依頼するなど、交渉に力を入れるべきでしょう。

 

アパート取り壊しによる立ち退きの流れ

アパートの取り壊しによる立ち退きは、次のような流れで進められます。

1, 入居者に対する立ち退きの通知
2, 立ち退き料交渉の実施
3, 退去・立ち退き料の受け取り

上記の各ステップについて詳しくみていきましょう。

(「立ち退き料請求の流れ|相談・交渉・和解の進め方」にてより詳しく解説しております)

 

STEP1  入居者に対する立ち退きの通知

立ち退きにあたって、まず入居者は大家からの通知を受けることになります。
しかし、通知を受けたからといって、入居者はすぐに立ち退かなければならないわけではありません。この通知は契約終了の6ヶ月前までに行わなければならないと決められているため、立ち退きまでには最低半年の猶予があります。

通知を受けたら、立ち退き要請の理由や条件などそこに記載されている内容をよく確認し、交渉に備えましょう。

 

STEP2  立ち退き料交渉の実施

立ち退きを求められた場合には、必ず大家と交渉を行うようにしましょう。

交渉では、立ち退き料をはじめとした立ち退きにおける細かな条件について話し合います。場合によっては、代替物件を提案されることもあるでしょう。
この時、立ち退き料については、内訳と相場を示しながら、希望する具体的な金額を提示できるようにしておくと、交渉がスムーズに進みます。

その後、条件について双方が納得すれば、決定事項を書面に残し、入居者は退去準備を、大家は立ち退き料支払いの準備を進めます。
万が一交渉がまとまらず決裂すれば、裁判で争う可能性もあるでしょう。

 

STEP3  退去・立ち退き料の受け取り

交渉に合意したら、入居者は決められた期日までに退去を行います。

また、大家から立ち退き料が支払われるタイミングは、入居者の退去時となるのが一般的です。
ただし、先払いを希望する場合には、交渉時にその旨を伝えれば、退去前に立ち退き料を支払ってもらえる可能性もあります。

 

 

立ち退き交渉の注意点

最後に、立ち退きについて大家と交渉を行う際に注意したいポイントについて解説します。

 

注意点1 立ち退きに「交渉」は付き物

アパートからの立ち退きを求められた場合には、必ず条件を交渉するようにしましょう。

弁護士の立場から見ると、交渉をせずに立ち退きを了承してしまうのは非常にもったいないと感じられます。
中には、交渉を行わなかったことで立ち退き料がまったく支払われなかった、というケースもあります。

立ち退きでは、大家に言われるままに手続きを進めるのではなく、交渉の中で自身の希望をきちんと伝えていくことが大切です。
希望する立ち退き料の金額とその根拠、また条件などは事前に簡潔にまとめておき、交渉時に漏れなく伝えられるようにしておきましょう。

交渉に不安がある場合や、立ち退き料の相場が分からない場合には、弁護士の助言を受けることも検討しましょう。
弁護士への相談により、ご自身の状況に応じた立ち退き料のおおよその金額を教えてもらえることもあります。

 

注意点2 敷金の返還について確認する

立ち退き交渉にあたっては、敷金の返還についても必ず確認しておくようにしてください。

敷金は、入居時に大家が預かる担保金です。これは、賃貸借契約の解約時に、入居者に原則返還されるものです。
入居者に原状回復のための費用負担がある場合には、敷金からその修繕費用が差し引かれますが、入居者の退去後にアパートを取り壊すのであれば、原状回復は基本的に不要でしょう。

しかし、中には敷金を返還しなかったり「立ち退き料の中に敷金が含まれている」と主張したりする大家もいるようです。
そのような場合には、敷金の返還は法律で定められているものであること、また立ち退き料と敷金は別物であることを根拠に、敷金の返還を求めるようにしましょう。

 

注意点3 立ち退き合意書の内容をきちんと確認する

立ち退きでは、交渉で合意した内容を合意書にまとめます。これにより、「言った言わない」などの問題を避けられます。

この時気をつけたいのが、交渉で合意した内容が合意書にきちんと反映されているか確認することです。署名後に合意書の内容を変更することはできないので、書類の内容をしっかり確認してから署名を行うようにしてください。

 

注意点4 弁護士に相談する

立ち退き交渉をうまく進めるには、法律の知識が必要です。そのため、立ち退きを求められた際には弁護士に相談し、力を借りるのもひとつの方法でしょう。

法律の専門家である弁護士は、法律や判例に基づいて適正な金額の立ち退き料や適正な条件を判断し、大家にそれを求めることができます。弁護士に代理交渉を依頼すれば、入居者は自身の負担を減らすこともできるでしょう。

十分な補償を受けるためにも、大家から立ち退きの条件を提示された場合には、その場で自己判断するのは避けて保留し、弁護士のアドバイスを受けるようにしてください。

 

 

まとめ

アパートの取り壊しによる立ち退きでは、入居者は大家から立ち退き料を受け取れる可能性があります。

ただし立ち退き料には明確な「相場」がありません。
下記の通り、支払われる立ち退き料は非常にケースバイケースです。

・東京都渋谷区の家賃8万円のケース:720万円を獲得
・東京都目黒区の家賃7万円のケース:222万円を獲得
・福岡市博多区の家賃3.3万円のケース:270万円を獲得
(その他の解決事例はこちら

立ち退き料は「アパートの取り壊し」の正当性の強さによって左右されるケースが多いです。
居住に危険が及ぶほどの老朽化による取り壊しの場合、その正当性が強い分、立ち退き料の金額は低くなるでしょう。
一方、大家がただアパートを建て替えたい・取り壊して土地を売りたいと考えているような場合、その正当性は低く、立ち退き料は高額になると考えられます。場合によっては、立ち退き自体が認められないこともあります。

エジソン法律事務所では、立ち退き料の増額交渉のご依頼をお受けしております。

またその中で、立ち退きに関する無料相談も受け付けています。

「今、大家から提示されている立ち退き料は妥当なのか?」
「交渉によってどのくらい増額できそうか?」

といった、お気軽な質問でも問題ありません。
まずはお気軽にご相談ください。

エジソン法律事務所ホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

 

記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢