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大家が変わった後「退去してほしい」と連絡が来たら:立ち退き料や退去の拒否について弁護士が解説

コラム/[更新日]2024年12月26日

大家が変わった後「退去してほしい」と連絡が来たら:立ち退き料や退去の拒否について弁護士が解説

賃貸物件では、相続や売却によって大家が代わることがあります。さらに、その後新しい大家が入居者に対し、物件からの退去を求めるケースも見られます。

このような退去依頼は、一般的に「立ち退き」と呼ばれるものです。立ち退き請求を受けた場合、入居者は立ち退きの法的要件や補償についてしっかり理解した上で、然るべき対応を取ることが重要です。

今回は、大家が代わった後に賃貸物件からの退去を求められた場合どうすればよいのかについて、わかりやすく解説します。

 

 

退去のお願いは立ち退きに該当する

住んでいる賃貸物件からの退去を大家から求められ、その請求を受けて入居者が物件から退去することを「立ち退き」と呼びます。

例えば賃貸物件では、大家が子どもに所有している不動産を譲ったり、第三者に物件を売却したりすることによって、大家が代わることがあります。そしてその後、新しい大家が「建物を建て直したい」「自分が住みたい」などの理由から、入居者に対して立ち退き請求を行うのです。こういったケースは非常によくあります。

入居者が立ち退きを迫られた場合、必ず応じなければならない、という訳ではありません。大家都合による立ち退き請求は、「正当の事由」がある場合にしか認められないと法律で定められているためです。

 

 

立ち退き請求に必要な「正当の事由」とは

賃貸物件の貸主が借主に退去を求めるためには、「正当の事由」が必要です。
「正当の事由」とは、借地借家法第28条で定められているもの。この条文では、「建物の貸主による賃貸借契約の解約(立ち退き請求)は、正当の事由があると認められる場合でなければ認められない」旨が記載されています。

借地借家法を根拠にすると、「正当の事由」なしに、貸主が立ち退きを求めることはできません従って「土地を高く買ってくれる人がいるから物件を取り壊したいから」「大家が物件に住みたいから」等といった、貸主側都合の理由による立ち退き請求は基本的に認められにくいです。

借地借家法は、賃貸借契約において立場的に不利になりやすい借主の保護に重点を置いた法律です。立ち退き請求にあたっての「正当の事由」の取り決めも、借主の保護のために設けられていると考えられます。

 

「正当の事由」を構成する要素

貸主が主張する立ち退き請求の理由が、前述した借地借家法の「正当の事由」に該当するかどうかは、次の5つの要素から総合的に判断されます。

・貸主・借主それぞれの建物使用の必要性
・建物の賃貸者についての従前の経過(契約の経緯や家賃の支払い状況、契約違反の有無、信頼関係破綻の有無など)
・建物の実際の利用状況(利用頻度や目的など)
・建物の実際の状態(老朽化の程度、修繕する場合の費用など)
・立ち退き料の支払いの有無とその金額

特に重視されるのは最初の「貸主・借主それぞれの建物使用の必要性」です。「貸主の建物使用の必要性」が高ければ「正当の事由」は認められやすく、反対に「借主の建物使用の必要性」が高ければ「正当の事由」は認められにくくなります。
最後の「立ち退き料」は最終的な補完要素となるものですが、これについては後の章でご説明します。

 

 

退去を拒否し住み続けることは可能か

立ち退きを求められたからといって、入居者は必ずしも退去しなければならないわけではありません。次の2つの内どちらかに当てはまる立ち退き請求については、入居者はそれを拒否して、物件に住み続けることができます。

・大家側の「正当の事由」が十分でない
・退去を通知された日から物件明け渡しまでの期間が6ヶ月未満である

既にご紹介したとおり、立ち退き請求は、その理由に「正当の事由」がなければ認められません。これは、借地借家法第28条に定められている決まりです。

それに加え、立ち退き請求にあたっては、大家は賃貸借契約満了の6カ月前までに、契約を更新しない旨を入居者に通知しなければなりません。これは借地借家法第26条に定められている決まりです。

このように、借地借家法には借主を保護するための複数の決まりが定められています。
上記の2点どちらかに当てはまるケースでは、大家の立ち退き請求は法的に認められないため、入居者は立ち退きを拒否することが可能です。

とはいえ、大家の主張や状況が「正当の事由」を満たすかどうかを、入居者自身が判断するのは困難でしょう。適切に判断を行うためには、立ち退き問題の取り扱い実績が豊富な弁護士の手を借りることを検討しましょう。

 

 

立ち退き料とは

「正当の事由」の要素の一つとして、立ち退き料があることは既にご紹介しました。

立ち退き料とは、大家都合による立ち退きにあたって、大家から入居者へ支払われる金銭のこと。この金銭には立ち退きに対する補償の意味があります。

借地借家法第28条では「立ち退き料の支払いが正当の事由を補完する」という旨が記されています。この法律を踏まえると、貸主の主張する立ち退きの理由や事情が「正当の事由」として弱ければ、その分立ち退き料の金額は高く、「正当の事由」として強ければその分金額は低くなるのが合理的です。

ただし、入居者による重大な契約違反を理由にした立ち退きでは、基本的に立ち退き料は支払われません。
また定期借家契約の場合も、契約期間満了後の退去時に立ち退き料が支払われることはありません。

 

 

もらえる立ち退き料の「相場」

大家都合による立ち退きで入居者が受け取れる立ち退き料の相場は、家賃の6〜12ヶ月分程度だといわれていますが、これはあくまで目安であり、実際に受け取れる立ち退き料の金額はケースによって大きく異なります。
算定のルールが法律で定められていないことを考えても、立ち退き料には明確な相場がないのです。
それでも「概算でも良いから知りたい!」という方は、弊所の立ち退き料増額の事例をご覧ください

立ち退き料増額の事例:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

立ち退き料の交渉はエジソン法律事務所へ相談を

立ち退きを求められた時には、要求に応じる場合でもそうでない場合でも、大家としっかり交渉を行うことが大切です。なぜなら、交渉によって、立ち退き料の金額やその他の条件は大きく変わる可能性があるためです。うまく交渉を進めれば、入居者にとってより有利な条件を大家から引き出すことも可能でしょう。

立ち退きにあたっての交渉は、エジソン法律事務所にお任せください。
弁護士に交渉を依頼するかどうかで、立ち退き料の金額には差が出ることが多いです。

エジソン法律事務所では、立ち退き問題の対応実績豊富な弁護士が代理交渉を担い、立ち退き料の増額を目指します。

また、当事務所では相談料0円・着手金0円の完全成功報酬制を採用しており立ち退き料が増額しなければ、費用は発生しません。
費用に心配がある方も、安心してご依頼いただけます。

立ち退きにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

エジソン法律事務所立ち退きホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢