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老朽化でテナントからの立ち退きを要求された!立ち退き料の算定方法や正当の事由等を解説

コラム/[更新日]2025年2月11日

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賃貸物件にて店舗を営んでいるという方は多いでしょう。物件を所有しなくても店を始められる点は、賃貸で店を開く大きなメリットです。

しかし、テナントを借りて店舗を経営している場合には、物件のオーナーから、老朽化などの理由で立ち退きを求められる可能性があります。
ではこのような場合、テナント側は立ち退きを受け入れなければならないのでしょうか。また、立ち退く時にはどれくらいの立ち退き料を受け取れるのでしょうか。

今回は、老朽化などの理由によるテナントからの立ち退き、また立ち退き料の計算についてわかりやすく解説します。

 

 

賃貸人が立ち退きを要求するには賃借人に事前に通知する必要がある

賃貸人が賃借人に対し、物件からの立ち退きを要求するには、いくつかの要件を満たす必要があります。
その一つが、「賃貸借契約満了の6ヶ月以上前に、契約を更新しない旨を通知する」こと。その根拠は借地借家法第26条にて示されています。

通常の賃貸借契約では、契約は自動的に更新されていきます。契約を終了するには、賃貸人は契約満了の6ヶ月前までに通知を行わなければなりません。
つまり、最低でも契約満了の6ヶ月前に「契約を更新しない」旨を通知されていない場合には、賃借人は賃貸人による立ち退き要求を受け入れる必要はないのです。

また、6ヶ月前に通知があった場合でも、賃借人は必ず立ち退きを受け入れなければならないわけではありません。なぜなら、「正当の事由」のない立ち退き要求は認められていないためです。
この「正当の事由」については、次章以降でみていきましょう。

 

 

賃貸人が賃借人に立ち退きを要求するのに必要な「正当の事由」とは

賃貸人が賃借人に立ち退きを要求するには、「正当の事由」が必要です。(借地借家法第28条)

賃貸人が正当事由なしに立ち退き要求を行った場合、たとえ6ヶ月以上前に通知をしていたとしても、法的にその要求は認められません。従って、賃借人は立ち退きを受け入れる必要はありません。

また、借地借家法には「財産上の給付」が「正当の事由」を補完することも示されています。「財産上の給付」とはお金の支払い、つまり立ち退き料の支払いのこと。賃貸人は賃借人に立ち退き料を支払うことで、正当事由を強めることが可能です。

 

 

正当事由の5つの判断要素

正当事由への該当性については、次の5つの要素から判断されます。

1. 建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情
2. 建物の賃貸借に関する従前の経過
3. 建物の利用状況
4. 建物の現況
5. 財産上の給付

各要素について詳しくご説明します。

 

1.建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情

正当事由の有無の判断において、最も重視されることが多い要素は「賃貸人/賃借人の、建物を使う必要性」です。
例えば、賃貸人が建物の老朽化を理由にテナントに立ち退きを求めたとしましょう。この場合、建物の老朽化の度合い(賃貸人側の必要性)とテナント側がそこで営業するメリット・移転するデメリット(賃借人側の必要性)などを踏まえ、両者の「正当の事由」が評価されます。

 

2.建物の賃貸借に関する従前の経過

これまでの賃貸人と賃借人の間での、建物の賃貸借における出来事・やり取りも、「正当の事由」の判断要素となります。
例えば、契約の経緯や変更、期間、信頼関係の破綻の有無など。もし賃借人が家賃を長期にわたって滞納している場合には、信頼関係が破綻していると見なされます。よって、賃貸人による立ち退き要求が認められる可能性は高くなります。

 

3.建物の利用状況

「正当の事由」には、賃借人による現在の建物の利用状況も影響します。

例えば賃借人が建物を使っているか、また建物を使う頻度はどれくらいかという点から判断が行われます。賃借人の建物を使う頻度が多い場合、建物の必要性が高いと判断され、立ち退きが認められにくくなる傾向があります。

 

4.建物の現況

老朽化を理由とした立ち退き要求で特に重要視されるのが、建物の現況です。その建物がどのような状態なのかによって、老朽化を理由にした立ち退きの必要性は変わります。

具体的には、建物の実際の状態や経過年数、残存耐用年数、修繕の必要性、修繕にかかる費用、地域的な特徴、倒壊の危険性等が考慮要素となります。これらの要素を総合的に判断し、立ち退き要求が正当であるかどうかを判断するのです。

 

5.財産上の給付

「財産上の給付」とは、立ち退き料の支払いのことを指します。
立ち退き料の支払いにより、貸主は立ち退きの正当事由を補完することができます。つまり、立ち退きを求める「正当の事由」が弱くても、賃貸人が立ち退き料を支払うことで正当事由が認められる可能性はあるのです。

エジソン法律事務所では、この立ち退き料増額の依頼を承っております。

エジソン法律事務所:立ち退き料増額ホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

テナントビルの立ち退き料の算定方法

一般的に、賃貸人の要求を受けてテナントから立ち退く場合、立ち退き料が支払われます。
この時支払われる立ち退き料には、次のような項目が含まれることが多いです。

・転居費用:引越し代、設備の移転・新設費用、不用品処理費用
・新居契約費用:敷金、礼金、仲介手数料、保証料
・家賃差額:数ヶ月〜数年分の新旧家賃の差額
・営業補償:移転に伴う休業時の営業利益、従業員への休業手当、固定費、損失補償
・その他補償:迷惑料など

テナントの移転では引越し代や設備移転費、保証料などが高くなることも考えると、テナントの退去において支払われるべき立ち退き料は、一般住居からの立ち退きに比べ、高額になりやすいといえます。

また立ち退き料を算定する具体的な計算式はありません。個別のケースによって大きく変動します。

下記ホームページから詳しい状況を相談頂ければ、立ち退き料の概算をお伝えすることができます。まずはお気軽にご相談下さい。

エジソン法律事務所・立ち退き料増額ホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

 

立ち退き料は老朽化の程度に左右される

正当事由は「双方の建物利用の必要性」や「立ち退き料」などの事情を見て、総合的に判断されます。

そのため、例えば老朽化の程度が軽微であるほど立ち退きの正当事由は認められにくくなり、それに応じて立ち退き料の金額は高く傾向にあります。建物の老朽化の程度によって、支払われる立ち退き料の金額は変わるのです。

老朽化を理由にした立ち退きでは、建物の状態を正しく把握することが、適切な補償に繋がります。立ち退きを受け入れる前に、賃貸人に耐震診断の結果の提示を求めるのもひとつの方法でしょう。

 

 

老朽化を理由に立ち退きを迫られた場合は弁護士へ相談を

立ち退きを迫られたテナントが十分な補償を受けるためには、法律にもとづき「正当の事由」の該当性を正しく判断することが重要です。
しかし、その判断は簡単ではありません。相手との交渉も、難しく感じる方が多いでしょう。

そこで検討したいのが、弁護士への依頼です。
弁護士は、法律の知識とこれまでの経験を生かし、「正当の事由」を正しく判断し、然るべき金額の立ち退き料を相手に請求することができます。交渉も代理で担えるため、賃借人の負担を軽減することも可能でしょう。

エジソン法律事務所は、立ち退き問題の解決実績が豊富な法律事務所です。
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詳しくは、弊事務所の実績ページをご覧ください。

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記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢