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立ち退きに精神的苦痛を感じたら慰謝料も請求できる?相談先や請求に必要な証拠等を解説

コラム/[更新日]2025年2月20日

emotional distress from the eviction

賃貸物件を借りている人は、例え契約内容を遵守していても、賃貸人である大家から立ち退きを求められる可能性があります。
物件から立ち退くということは、生活と仕事の拠点を失うということ。立ち退きの要請によって、賃借人である入居者が大きな精神的苦痛を負うことは、想像に難くありません。

では、立ち退き要求によって受けた精神的苦痛については、どのような機関に相談すれば良いのでしょうか。また、賃貸人に慰謝料を請求することは可能なのでしょうか。

今回は、賃貸人から立ち退きを求められた場合に受けた精神的苦痛の相談先や慰謝料請求の方法について、わかりやすく解説します。

 

 

立ち退きによる精神的苦痛の相談先

大家からの立ち退き要請で精神的苦痛を受けた場合の相談先としては、次のような機関・専門家が挙げられます。

・法テラス
・賃貸住宅に関する公益社団法人
・消費生活相談窓口
・弁護士

それぞれどのような機関・専門家であるのか、詳しくみていきましょう。

 

法テラス

法テラスとは、国民に対して法的支援を行う機関のことです。正式名称を「日本司法支援センター」といい、ユーザーの問い合わせに対する法的な情報提供を行います。
また法テラスでは民事法律扶助業務として、経済的余裕のない人に対する無料の法律相談弁護士費用等の立て替えも実施しています。
すべての人がどこにいても法的サービスを受けられるようにするのが、法テラスの役割です。

日本司法支援センター「法テラス」:https://www.houterasu.or.jp/

立ち退き要請によって精神的苦痛を受けた場合の相談先のひとつとしては、この法テラスが挙げられます。法テラスの事務所は各地域にあり、また対面はもちろん、電話やメールでの相談窓口も設置されているため、比較的利用はしやすいでしょう。

 

賃貸住宅に関する公益社団法人

立ち退きによる精神的苦痛については、賃貸住宅に関する公益社団法人である「全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協会)」に相談するのもひとつの方法です。

ちんたい協会は賃貸住宅に関する情報提供や相談受付を行う公営社団法人です。賃貸物件からの立ち退きに関するトラブルについても、相談に乗ってくれるようです。

ちんたい協会:https://www.chintai.or.jp/

ただし、ちんたい協会が行うのは、情報提供やアドバイスに限られます。トラブル解決のために具体的に動いてくれるようなことはないので、あくまで情報を得るために利用してください。

 

消費生活相談窓口

消費生活相談窓口とは、消費者庁が管轄する消費生活に関するトラブルの相談窓口のことです。
この窓口では、消費生活に関する苦情や相談、わからないことなどの問い合わせを受け付け、公正な立場で処理を行います。

消費生活相談窓口:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/notice/efforts_001.html

消費生活相談窓口では、立ち退きトラブルに対する相談も可能です。困った時には、まずは消費者ホットライン(188)に電話してみると良いでしょう。相談の内容と地域に合った適切な窓口を紹介してもらえます。

 

弁護士

立ち退きで受けた精神的苦痛に対して積極的に行動したい場合には、法律の専門家である弁護士への相談を検討しましょう。
弁護士は法律相談によるアドバイスのほか、依頼者の希望によっては慰謝料請求の手続きまで担うことができます。

法律相談にかかる費用の相場は、1時間1万円程
費用はかかるものの、弁護士へ相談・依頼すれば、より手厚い法的サービスを受けることができるでしょう。

このサイトを運営しているエジソン法律事務所では立ち退きに関する相談を無料で承っております。

エジソン法律事務所・立ち退き料増額ホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

 

立ち退きによる精神的苦痛を弁護士に相談するメリット

立ち退きによって受けた精神的苦痛の相談先として特におすすめなのが、法律の専門家である弁護士です。なぜなら弁護士に相談することにより、精神的苦痛を受けた賃借人は、次のような複数のメリットを得ることができるためです。

 

①法的なアドバイスを受けられる

立ち退きトラブルの解決においては、法的な知識が必要になります。

そもそも借主に契約違反のない普通賃貸借契約において、貸主が借主に立ち退きを求めるには、正当事由が必要です。この正当事由の有無は、賃貸人側・賃借人側双方の物件使用の必要性と立ち退き料の金額によって判断されます。しかしこれらの判断には、法的知識・経験が必要です。
またその他の立ち退き条件についての問題の有無や、慰謝料請求の可否の判断も困難であると考えられます。

しかし弁護士は自身の持つ法的知識と経験で、これらの判断を正しく行うことができます。適切な判断のもとでアドバイスを受けられれば、依頼者である借主は最適な対応を取ることができるでしょう。

 

②親身になって対応してくれる

弁護士は少しでも良い条件での合意を目指し、依頼人である借主に親身な対応を行います。
例えば、「同条件の物件の敷金礼金が高いことを伝え、立ち退き料の増額を求める」「立ち退き要請を受けたことによる借主の不調のため、退去期限を伸ばしてもらう」「立ち退きによって借主が受けた精神的苦痛による不調を貸主に訴え、立ち退き料にその治療費を上乗せしてもらう」など。

貸主との交渉を代理で請け負った弁護士は、依頼者である借主に寄り添います。そしてこれまでに培った高い交渉力で上手く借主側の希望を伝え、貸主側の譲歩を引き出そうとし、問題の解決を目指します。
弁護士の存在は、借主の負担を軽減する大きな支えとなるでしょう。

 

③慰謝料を請求できる可能性がある

立ち退き要請によって精神的苦痛を受けた場合には、借主は貸主に対し慰謝料を請求できる可能性があります。
ただしそのためには、「貸主の主張する正当の事由は認められるか」や「借主の苦痛に対し、支払われる立ち退き料は十分な金額か」など、状況を総合的に考慮し、慰謝料請求の可否またはその金額を正しく判断しなければなりません。また、慰謝料を請求する場合には、慰謝料を立ち退き料に上乗せしてもらうための交渉や、貸主がそれに応じない場合の訴訟対応も必要になるでしょう。

弁護士は、これらの判断や手続きにも対応し、慰謝料請求の手続き全般を代理で行うことが可能です。受けた精神的苦痛に対する補償をしっかり受けるためにも、弁護士に頼ることをおすすめします。

 

 

立ち退きの精神的苦痛に対して慰謝料を請求するために必要なもの

立ち退きによって受けた精神的苦痛に対し、貸主に慰謝料を請求するためには、次のものが必要になります。

 

①診断書

まず必要になるのが、精神的苦痛を受けたことによる体調不良の診断書です。

通常、「立ち退きによって精神的苦痛を受けた」という借主の訴えだけでは、慰謝料は認められません。慰謝料を請求するためには、借主が精神的苦痛を受けたことを示す客観的な証拠が必要です。
うつ病や腹痛など、精神的なストレスを原因とする症状が出た場合、その診断書は、精神的苦痛を受けた事実を示す重要な証拠になり得ます。

そもそも精神的苦痛に対する慰謝料は、診療費や薬代、通院費など、実際にかかった費用をもとに算出されます。そのため、医師による診断書はもちろん、病院にかかった際の領収書なども、きちんと保管しておくと良いでしょう。

 

②不法行為の事実を明らかにする証拠

裁判を通して物件の貸主に慰謝料を請求する場合、貸主側に不法行為がなければ認められないこともあります。立ち退きにおける不法行為としては、契約が法的に解除されていない状態での無断侵入や撤去、鍵の交換、物件の明け渡しを迫る嫌がらせ、暴力行為などが考えられます。
裁判では、借主はこれらの不法行為の事実の証拠を提示し、その事実を証明する必要があるでしょう。

とはいえ、一個人が証拠集めや裁判手続きを一人で行うことは困難です。よって慰謝料請求にあたり、証拠集めのプロである弁護士の手を借りるとスムーズに進むでしょう。

 

 

立ち退きの精神的苦痛を与えた側が問われる罪

立ち退きに際して貸主が借主に対し、悪質な不法行為によって精神的苦痛を与えた場合が考えてみましょう。その場合行為によっては、借主は貸主に対し傷害罪や暴行罪に問える可能性があります。

 

①傷害罪

傷害罪とは、人の身体に障害を負わせた行為に対する罪のことを指します。相手を殴って怪我をさせたような場合に適用される罪だと考えると、わかりやすいでしょう。

立ち退きを求めるにあたって、物件の貸主が借主に暴力行為を行い、その結果借主が怪我を負った場合、当然貸主は傷害罪に問われます。また、直接暴力を振るっていなくても、傷害罪にあたる場合があります。例えば貸主が嫌がらせによって精神的苦痛を与えたことで借主が体調不良に陥った場合、貸主は傷害罪に問われる可能性があります。

傷害罪では、加害者は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」の処罰を受けることになります。

 

②暴行罪

暴行罪とは、人の身体に暴力を振るった結果、被害者が障害を負わなかった場合に問われる罪です。例えば、「立ち退き交渉において口論となった際に貸主が借主の胸ぐらを掴んだ」また「立ち退きを拒否した借主を強く押した」などの場合、この貸主の行為は暴行罪に問える可能性があります。

暴行罪では、加害者は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、または拘留若しくは科料」の処罰を受けることになります。

 

 

まとめ

立ち退きに関する相談は、複数の機関が受け付けています。どの機関でも有益な情報提供を行なっているため、まずは専門機関・専門家に相談してみると良いでしょう。

また賃貸物件からの立ち退きに関して精神的苦痛を負った場合、借主は貸主に対し、慰謝料を請求できることもあります。ただしそのためには、精神的苦痛と不法行為の事実を証明しなければなりません。
証拠集めや法的手続きを一個人で行うのは難しいため、自身の負担を減らすためにも、慰謝料請求は不動産問題を取り扱う弁護士に相談すると良いでしょう。

エジソン法律事務所では立ち退き要請を受けた入居者に代わり、証拠集め、交渉、訴訟など様々な法的サポートを行っています。もし立ち退き要請を受けお困りでしたら、ぜひエジソン法律事務所にご相談ください。相談料・着手金は無料でお受けしております。

 

エジソン法律事務所・立ち退き料増額ホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/

 

 

記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢