コラム
株式会社ひなごからの立ち退き料増額事例:コツや「相場」を解説

「賃貸に住んでいたら、株式会社ひなごという会社から立ち退きの連絡が来たんですが・・・。」
「突然、立ち退き通知の封筒が届きました。」
とエジソン法律事務所へ相談に来られる方は、年に数人いらっしゃいます。
株式会社ひなごとは、主にマンション等の不動産売買業・開発分譲などを行っている大手の開発会社(デベロッパー)です。
エジソン法律事務所では、こうした大手デベロッパーに関わる立ち退き料の交渉に携わることが多いです。
今回の記事では、実際の交渉経験から、株式会社ひなごによる立ち退き料の「目安」や立ち退きの対処法について、わかりやすく解説します。
株式会社ひなごとの立ち退き料交渉の事例
弊所ではこれまでに計3回、「株式会社ひなごから立ち退きを求められているので、立ち退き料を増額してほしい」という旨の依頼を受けております。
ひなご様のようなデベロッパーによる立ち退き請求ではよく見られるケースですが、いずれのご依頼においても、老朽化に伴う建て替えを理由に立ち退きが求められていました。
ただ、お引き受けした3件の依頼では老朽化がそこまで進行しておらず、「立ち退きに正当性があるか」という点については疑問が残る状況でした。こうしたケースでは、交渉によって立ち退き料増額を目指すべきです。
最初にお引き受けした立ち退き料増額のご依頼では、貸主側も代理人弁護士を立て、主に弁護士同士による電話での交渉となりました。最初の交渉では相手方の都合により多少時間を要しましたが、粘り強く交渉を続けた結果、最終的には依頼者様にご満足いただける成果を得ることができました。
2回目以降の依頼では、貸主方も「これ以上の抵抗は難しい」「弁護士を付けても費用対効果が見合わない」と判断したのか、弁護士ではなく株式会社ひなご様との直接交渉となり、手続きは比較的スムーズに進んでいます。
こちらの主張をしっかり伝えることで一定の誠実な対応をしていただける印象を持ちました。
株式会社ひなごの立ち退き料の「相場」
立ち退き料については、立ち退き理由や状況によって異なり、交渉の進め方によっても大きく上下します。
そのため金額はケースバイケースであり、明確な相場はありません。
「過去の事例をもとに、立ち退き料の概算を知りたい」という方は、エジソン法律事務所の立ち退き料増額事例集を参考にして下さい。
株式会社ひなごのような大手デベロッパーが関与する立ち退き案件では、支払われる立ち退き料は、他の案件と比べ高額になる傾向があります。
それは、大手デベロッパーは立ち退きを進めるための潤沢な資金を有しているためです。
立ち退かせた後にデベロッパー側が得られる利益を考慮すると、多少の立ち退き料の増額には応じてくれるケースも少なくありません。
大手デベロッパー関連の立ち退きでは、最初に提示された立ち退き料ですぐに合意するのではなく、増額に向け積極的に交渉することが大切です。
立ち退き料増額に向けた交渉のコツ
オーナー側に、立ち退き料の増額に合意してもらうためには、コツを意識しながら立ち退き交渉を進める必要があります。特に重要な交渉のコツとしては、以下の2点が挙げられます。
①デベロッパー側の利益を考慮する
立ち退き料の増額交渉では、特に「デベロッパー側の利益を考慮する」ことが重要です。
デベロッパー側は、主に下記のような目的で立ち退きを求めることが多いです。
・老朽化したマンション・アパートを取り壊し、土地を売却したい
・新たにマンション・アパートを建て直し、賃貸経営による長期的な利益を得たい
上記のような目的で立ち退きを求める場合、建物の取り壊しによってデベロッパー側が得られる収益は非常に大きくなる傾向があります。中には数千万円から数億円にわたるケースもあり、デベロッパー側はこうした最終的な利益を基に立ち退き料を算出します。
そのため、デベロッパー側が最終的に得る利益を適切に見積もることで、より高額な立ち退き料を請求できる可能性があります。
エジソン法律事務所では依頼者に立ち退き料の相場を伝える際、「賃料の何ヶ月分」といった基準を用いることはあまりありません。それは、立ち退かせる側の利益や交渉力によって、立ち退き料は大きく変動する可能性があるためです。
ご自身で交渉する際は、相手方の得られる利益から逆算することを意識し、積極的に増額を目指しましょう。
②裁判を盾に交渉する
立ち退き料を請求する際は、「同意いただけない場合は訴訟も検討します」という姿勢を見せることも重要です。
裁判になれば、相手方にも時間的なコスト、企業としての信用リスクが生まれます。裁判を回避するために、多少の立ち退き料の増額に応じてくれるケースも少なくありません。そのため、裁判を盾に交渉することも有効な手段の一つです。
しかし一般の方の中には、なんとなく「裁判は怖い」「手続きが大変そう」というイメージを持たれている方が多いです。立ち退き料の増額は魅力的ではある一方で、裁判に踏み切ることに抵抗がある方は少なくありません。
しかし、弁護士にとって裁判は通常業務の一環であり、特に恐れるものではありません。むしろ、適切な立ち退き料を請求できるチャンスだと捉えています。
立ち退き料の増額請求を弊所に依頼した場合、たとえ裁判に移行しても依頼者様は出廷する必要はありません。裁判での手続きから交渉まで、弁護士が代理人として対応いたしますので、安心してご依頼ください。
立ち退きを受けたら行うべきこと
賃貸人・デベロッパーから立ち退き通知を受けた場合には、賃借人は慎重に対応することが大切です。通知を受けたときには以下の行動を取り、まずは交渉へと手続きを進めましょう。
①通知書を確認する
賃貸人・デベロッパーから立ち退きを通知されたときには、まず送付された立ち退き通知書の内容をよく確認するようにしましょう。
この通知書には、立ち退きに関する重要事項が記されているはずです。例えば、立ち退きの理由や明渡しの期日、立ち退き料をはじめとした各種条件などが挙げられます。
賃借人は通知書の内容をもとに「立ち退きに正当性はあるのか」「十分な立ち退き料なのか」等を慎重に判断する必要があります。
もし立ち退き料の妥当性に迷う場合は、立ち退き料の増額事例を参考にして下さい。
②すぐに承諾しない
賃貸人・デベロッパーから立ち退きを求められたときに、すぐに退去を承諾することはお勧めできません。即座に同意してしまった場合、提示された条件以上の補償が受けられなくなる可能性があるためです。
特にデベロッパー相手の立ち退き交渉の場合、一般的な立ち退き交渉に比べて増額幅が大きくなる傾向があります。そのため、本来得られるはずの補償額との差が、さらに広がることも考えられます。
立ち退きを求められた場合には、一旦返答を保留し、まずは賃貸人と交渉するようにしましょう。また交渉にあたっては、賃貸人の主張する立ち退き理由の正当性を正しく判断し、それをもとに条件を詰めていくことが必要です。
③弁護士へ相談する
立ち退き要請を受けた場合、法律の知識や経験がなければ、立ち退き理由の正当性を正しく判断したり交渉をうまく進めたりすることは困難でしょう。
もし立ち退き要請を受けたときには、不動産問題を扱う弁護士への相談をご検討ください。
法律の専門家である弁護士が間に入り、交渉をはじめとした各種手続きを担うことで、より良い条件を引き出せる可能性は高くなります。また、賃借人の負担を減らしながら、スムーズに問題を解決することも可能になります。
立ち退き料増額は弁護士へ相談を
大手デベロッパーからの立ち退き要請を受けた場合には、まず弁護士への相談を検討しましょう。立ち退き問題に詳しい弁護士がサポートに入ることで、立ち退き料の増額が見込めます。
また、交渉をはじめとした各種手続きを弁護士が代理で担うことで、賃借人が負う精神的・体力的な負担も軽減されるでしょう。
エジソン法律事務所では、立ち退き料の増額に向けた代理交渉をお引き受けしています。実績豊富な弁護士が交渉をリードし、依頼者様に納得いただける解決を導きます。
住まいからの立ち退きにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
エジソン法律事務所・立ち退き料増額ホームページ:https://edisonlaw.jp/tachinoki/
記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢