コラム
日本建物株式会社から老朽化による立ち退きの連絡が来たら:対処法や立ち退き料の目安について解説

「日本建物という会社から、住んでいる賃貸物件から立ち退くよう求める通知を受け取ったが、どう対応すればいいか?」というご相談をいただいたことが、エジソン法律事務所では数回あります。
日本建物株式会社とは、不動産の買取や建替え、コンサルティングなどを手掛ける会社です。既存物件からの立ち退き関連業務も担っていることから、この会社が立ち退き交渉の相手となることもあります。
今回は、日本建物株式会社による立ち退きの傾向や対処法を、過去に行った実際の交渉事例をもとにご紹介します。
日本建物が立ち退きを求める理由は「老朽化」が多い
日本建物株式会社が入居者に立ち退きを求める主な理由は、「老朽化に伴う取り壊し・建て替え」であることが多いです。
弊所では過去に4度、日本建物と立ち退き料の交渉を行いましたが、全てのケースにおいて「老朽化」を理由に立ち退きを求められていました。
賃貸人都合の立ち退きは、「立ち退きを正当化する十分な理由(正当事由)」がなければ法的に認められません。そして一般的には、特に居住に不都合がなく、倒壊の危険性もないという場合、単なる「老朽化」という理由だけでは、正当事由は認められないことが多いです。
例えば「居住が困難なほど雨漏りがある」「柱や床が腐食して倒壊の危険がある」など、建物の状態が著しく悪く居住に差し迫った危険があるような場合でなければ、建物の老朽化のみを正当事由として立ち退きを求めることは基本的にできません。
しかし実際には、建て替えを要するほど老朽化が進行していないにもかかわらず、賃貸人が立ち退きを求めるケースも少なくありません。
もちろん立ち退きに正当事由が認められなければ、入居者が立ち退きに応じる義務はありません。
日本建物からの立ち退き料増額事例(エジソン法律事務所)
エジソン法律事務所では借主向けに、立ち退き料の増額交渉のご依頼を承っております。
これまでに日本建物株式会社との間では、計4件の立ち退き交渉を担当してきました。いずれも当事務所の介入により、比較的円滑に立ち退き料の支払いが完了しています。
獲得した立ち退き料の具体的な金額は公表できませんが、いずれのケースにおいても、賃借人の方にご満足いただける結果となりました。
立ち退き料の目安
賃貸人都合で立ち退きを求められた場合には、適切な金額の立ち退き料を受け取り、きちんと補償を受けることが大切です。
しかし、「適切な金額の立ち退き料」がいくらなのかを一概に述べることはできません。それは、適切な立ち退き料の金額はケースによって大きく異なり、明確な相場というものがないためです。
他サイトでは、立ち退き料の「相場」は家賃の6〜12ヶ月分だと紹介されています。
しかしこの数字はあくまで目安。実際の金額とは大きな差が生まれることが多いことを理解しておきましょう。
また「弊所で立ち退き料請求を行った事例」では、過去の立ち退き事例の賃料・請求額も記載しておりますので、参考になるかと思われます。
そもそも、立ち退き料は「正当事由」を補完するための要素として存在します。
正当事由は、借主・貸主双方の事情を考慮して総合的に判断されますが、賃貸人側の事情が正当事由として弱い場合に、補完要素として立ち退き料の支払いが行われるのですね。
賃貸人・賃借人の事情は個々のケースで異なるため、それらの補完要素である立ち退き料の金額もケースごとに変わってくる、というわけです。
立ち退きを求められた時の対処法
貸主から立ち退きを求められた場合には、あせらず落ち着いて、以下の対処法を取るようにしましょう。
すぐに了承しない
貸主や不動産会社などから立ち退くよう求められたときに、すぐに了承して退去するのは避けましょう。返答は一旦保留にすることをおすすめします。
そもそも「立ち退き料」については借地借家法で「財産上の給付」として定義されているものの、「必ず立ち退き料を支払うこと」は法律で定められていません。基本的に貸主は、円滑に立ち退きを進めることを目的に、立ち退き料を支払っています。入居者が立ち退きをすぐに了承し退去してしまえば、賃主が立ち退き料を支払う理由はなくなってしまいます。
きちんと立ち退き料を受け取るためにも、立ち退き請求はすぐに了承しないことが大切です。
妥当な立ち退き料を検討する
まず、自分のケースにおいて妥当な立ち退き料の金額について検討する必要があります。
入居者本人の事情はもちろん、賃貸人側の事情や従前の経過、建物の現在の状況、引越し費用などを総合的に鑑みて、いくらの立ち退き料を賃貸人に請求するのか決めましょう。
ただし、妥当な立ち退き料の金額について正しく判断するには、法的知識はもちろん、過去の判例についても把握しておく必要があります。具体的な金額については、立ち退き問題を扱う弁護士に相談すると良いでしょう。
エジソン法律事務所でも、無料相談にて立ち退き料の概算をお伝えすることができます。まずはお気軽にお問い合わせください。
立ち退き料の交渉を行う
妥当な立ち退き料の金額が決まったら、賃貸人と立ち退き交渉を行います。この交渉では、退去期日や原状回復義務の免除など、立ち退き料以外にも希望する条件を伝えましょう。
弁護士に交渉代行を依頼する際は、立ち退き問題の解決実績豊富な弁護士を選びましょう。
具体的には弁護士事務所のWebサイトや口コミをよく確認し、「立ち退き問題に力を入れているか」「評判は良いか」などを必ずチェックしましょう。
よくある質問
ここからは、立ち退きについてよくある質問を3つご紹介します。
立ち退き料の増額を依頼する際の弁護士費用は?
立ち退き問題について弁護士に依頼する際、もっとも気になるのは弁護士費用でしょう。
一般的な弁護士費用の項目と相場は以下のとおりです。
相談料:5,000〜10,000円/1時間
着手金:10万円〜
成功報酬:得た収入の10〜20%
実費(日当・交通費・切手代など):ケースによる
ただし、弁護士事務所によって費用はもちろん、料金体系も異なります。費用については、依頼前に明確な見積もりを出してもらうことが大切です。
ちなみに、エジソン法律事務所は成功報酬制を採用しており、料金は以下のとおりです。
相談料:初回60分まで無料
成功報酬:「増額幅」に対し35%+税
初期費用がほぼかからないため、どなたさまも安心してご利用いただけます。
立ち退きの際に原状回復する必要はある?
賃貸物件では、入居者に原状回復(物件を借りたときの状態に戻して返却すること)義務が生じます。この原状回復義務は、立ち退きによる退去であっても発生します。
ただし、立ち退き後に建物を取り壊したり建て替えたりする場合には、原状回復義務が免除されることも多いです。立ち退き交渉では、原状回復義務の免除についてもしっかり要求すべきでしょう。
ちなみに、弊所でお受けした立ち退き料請求事例の中では、ほぼ全ての事例において原状回復義務の免除で合意しています。(立ち退き請求が撤回された場合を除く)
立ち退きは拒否できる?
大家都合の立ち退きである場合、立ち退きに正当事由が認められなければ、立ち退きを拒否することができます。
既に述べたとおり、賃貸人都合の立ち退きには「正当事由」が必要であり、賃貸人が一方的に賃借人を立ち退かせることはできません。
ただし、以下のケースでは、賃借人は立ち退きを拒否することができません。
・定期借家契約
・家賃滞納などの契約違反
定期借家契約とは、契約時にあらかじめ契約満了期日が決められている借家契約のことです。期日がくれば、契約は更新されず、賃借人は建物から退去しなければなりません。
また、賃借人に家賃滞納などの契約違反があった場合には、賃貸人による強制退去が可能になる場合があります。
これらのケースでは、立ち退き料が支払われることはありません。
立ち退き料の増額交渉はエジソン法律事務所へ相談を
賃貸人から立ち退きを求められた場合には、立ち退き問題の解決に力を入れているエジソン法律事務所にご相談ください。
多くの立ち退き料増額実績を持つ弁護士が、代理交渉を行い、より良い条件での合意を目指します。
急に自宅からの立ち退きを求められ、戸惑う方は多いでしょう。
弊所はそんな借主さまに寄り添い、その権利を守るべく、お力になります。
立ち退き問題にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
メールでのご相談はこちら:お問い合わせフォーム
記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢