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【大家の罠】立ち退き料がもらえない契約書だと言われたら

コラム/[更新日]2025年6月11日

【大家の罠】立ち退き料がもらえない契約書だと言われたら

 

「立ち退き料は出ない契約になっている」

「入居時の契約書に立ち退き料を請求しないという項目がある」

などという理屈で、立ち退き料を支払おうとしない大家もしばしば目にします。

大家都合の立ち退きであるにもかかわらず、賃借人が立ち退き料ゼロで退去する必要はありません。然るべき金額の立ち退き料を受け取れる可能性は十分にあります。

そこで今回は「立ち退き料がもらえないという内容の契約書を交わしている場合」の立ち退きについて、その契約の効力や賃借人が取るべき対応を、わかりやすく解説します。

 

契約書の「立ち退き料は一切請求しない」は無効になる可能性が高い

賃貸借契約書などに「立ち退き料は一切請求しない」等の旨が記載されている場合、その取り決めは無効になる可能性が高いです。
その根拠は、借地借家法第30条の以下の条文にあります。

この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
(引用:e-Gov法令検索「借地借家法 第30条」)

上記条文の「この節の規定」には、賃貸借契約の更新拒絶等の要件(大家都合の立ち退きには正当事由が必要であること)も含まれます。
つまり、大家都合の立ち退きにあたっては、賃借人に不利になるような特約は無効になるのです。
「立ち退き料は一切請求しない」というような特約は、賃借人に不利になる特約として認められる可能性が十分にあります。

ただし、過去の判例を見ても実際の判断はケースバイケースであり、裁判所も「個別の事情から総合的に判断すべき」としています。法的な観点から見た判断については、立ち退き問題を扱う弁護士に意見を仰ぐのも一つの方法でしょう。

 

契約書の特約が無効になるケース

契約書の特約が無効になる可能性が高いケースとしては、次のようなものが挙げられます。

①「立ち退き料を請求しないものとする」

既に述べたとおり、借地借家法第30条を根拠にすると、賃貸借契約書の「立ち退き料を請求しないものとする」旨の特約は、賃借人にとって著しく不利なものであり、無効になる可能性が高いです。

しかし、大家から「立ち退き料なしで契約しているから」と言われた賃借人の中には、「契約を交わしてしまっているから仕方ないか」と、立ち退き料なしでの立ち退きを受け入れてしまう方もいます。
ここで重要なのは、立ち退き請求が来てもすぐに返事をしないことです。
慌てて即答してしまうと、十分な補償が受けられなくなる可能性があるため、一度冷静になって返事を保留し、弁護士に相談することを検討しましょう。

 

②「大家の求めによって即座に立ち退く必要がある」

「大家の求めによって即座に立ち退く必要がある」旨の特約も、無効になる可能性が高いです。賃貸人都合ですぐに退去させるという契約は、賃借人の権利保護に反するものです。

そもそも借地借家法第26条では、「賃貸借契約の解約は、契約期間満了の6ヶ月以上前に通知しなければならない」旨が定められています。即座の立ち退きという契約は、この条文にも反すると考えられるため、無効になる可能性は高いでしょう。

 

③「建物の老朽化の場合は立ち退き料が請求できない」

「建物の老朽化の場合は立ち退き料が請求できない」というような特約も無効になるでしょう。

このような表記は「立ち退きに際し正当事由は必要ない」と誤解させ、賃借人の不利益につながりかねません。(借地借家法第30条)

 

立ち退きは拒否できるのか

大家都合で立ち退きを求められた場合、その立ち退きに正当事由が認められなければ、借主はその求めを拒否することができます。
立ち退きを求めるには正当事由が必要であり、正当事由の有無の判断は、賃借人の事情を含む複数の要素から総合的に判断されることになります。

立ち退きを求められた場合には、一度返事を保留し、提示された条件や立ち退き料の相場などをよく確認してから、今後の対応を決めるようにしましょう。
立ち退き問題を扱う弁護士に相談し、その後の対応についてアドバイスを受けるのもよいでしょう。

ただし、契約の種類や立ち退きの原因によっては、賃貸人による立ち退き請求を拒否できないケースもあるので注意が必要です。具体的には、以下のようなケースが考えられます。

・定期借家契約の場合
・家賃滞納など賃借人の契約違反が原因の場合

詳しくは次章でご説明します。

 

【例外】立ち退き料を請求できない例

契約の種類が定期借家契約の場合や、立ち退きを求められた原因が家賃滞納などの賃借人の契約違反にある場合には、立ち退きの拒否はもちろん、立ち退き料の請求もできません。

定期借家契約の場合

賃貸借契約には、一般的な賃貸契約である「普通借家契約」と、少し特殊な「定期借家契約」があります。

定期借家契約の場合、あらかじめ契約の期間が決められており、契約の更新はありません。
そのため契約期間満了となった場合、新たに契約を結ばない限り、賃借人はその物件から退去する必要があります。
この退去にあたっては、賃貸人側の正当事由は必要なく、立ち退き料の支払いが発生することもありません。

ただし、定期借家契約の締結にあたっては、適切に合意文書を作成すること、賃貸人が賃借人に対し、契約の内容(更新がないこと)をきちんと説明することが求められます。これが行われていない場合、更新なしという契約内容は無効になる可能性がありますので、一度契約書を弁護士に見てもらうことをおすすめします。

 

家賃滞納などの契約違反がある場合

賃借人が家賃滞納や迷惑行為などの契約違反をした場合の立ち退きについても、立ち退き料は支払われません。

家賃滞納の場合であれば、一般的には「3ヶ月」以上の滞納が続いた場合に賃貸借契約の解除が認められる傾向があります。
ただし、1ヶ月程度の家賃滞納による契約解除が認められるかどうかについては、ケースバイケースです。この場合賃借人の事情が考慮されることが多いため、不安がある方は一度弊所にご相談ください。

 

立ち退き料の「相場」

支払われるべき立ち退き料の金額は、賃貸人・賃借人の事情によって変わるため、ケースによって変動があります。
よく他のサイトには「立ち退き料の相場は家賃の6〜12ヶ月が相場」と書かれていますが、実際には立ち退き料に明確な相場はないといえます。

もし「提示された立ち退き料が妥当かどうかわからない・・・。」という方がいらっしゃいましたら、「弊所の立ち退き料請求事例」が参考になるかと思われます。各ケースの賃料と請求額も掲載しております。

 

実際に立ち退き料を増額した事例

エジソン法律事務所は、立ち退き料の増額に力を入れている法律事務所です。

実際に立ち退き料の増額に成功した事例としては、下記のようなものが挙げられます。

賃料10万円のマンション老朽化→立ち退き料200万の増額成功
賃料5万円のアパート老朽化→立ち退き料120万円+3ヶ月分のフリーレント
賃料7万円のマンション老朽化→60万円→400万円超への増額成功
家賃20万円のマンションから退去請求→300万円超の立ち退き料増額成功

その他の事例に関しては、弊所の立ち退き事例、もしくは弊所のGoogleマップの評価などをご覧ください。

 

立ち退き料の増額はエジソン法律事務所へ相談を

立ち退き料増額のための交渉は、エジソン法律事務所へご依頼ください。立ち退き料の増額に多くの実績を持つ弁護士が、依頼者様に代わって力強く交渉を行います。

また、費用は完全成功報酬制を採用しております。
初期費用は0円、立ち退き料が発生しなければ、報酬も発生しません。

初回相談料は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

 

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記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢