コラム
持ち家からの立ち退きは拒否できる?弁護士が立ち退き料の相場も解説!

賃貸住宅の部屋を借りて住んでいる場合、賃借人(入居者)は賃貸人(大家)により、部屋からの立ち退きを求められる可能性があります。状況によっては、入居者はそれに従い、部屋から出なければなりません。
では、自分で購入した持ち家に住んでいる場合でも、立ち退きを求められることはあるのでしょうか。またその場合、拒否することは可能なのでしょうか。
今回は、持ち家からの立ち退き要請とその拒否について、わかりやすく解説します。
持ち家からの立ち退きは拒否できるのか
賃貸住宅ではなく、持ち家に住んでいても、立ち退きを求められることはあります。
ここでは、その際の立ち退き拒否の可否についてみていきましょう。
持ち家からの立ち退きを求められるケースとは?
自分の持ち家からの立ち退きを求められるケースとしては、次のようなものが考えられます。
・土地区画整理事業による立ち退き要請
・市街地再開発事業による立ち退き要請
・都市計画道路工事による立ち退き要請
・借地契約解除による立ち退き要請
土地区画整理事業と市街地再開発事業、都市計画道路工事の3つに関しては、行政の計画によって既存の区画の整備、公共施設の建設、道路の設置等が行われます。この計画の対象地域に建っている住宅は、それが持ち家であっても、立ち退き要請の対象となる可能性があります。
また、土地を他人から借りて、その上に自分で一軒家を建てて住んでいる場合には、借地契約の解除に伴い、立ち退きを求められることもあります。
ただし、地主の都合による一方的な立ち退きは認められません。借地契約の解除に伴う立ち退き要請が認められるのは、立ち退きについて「正当の事由」が認められる場合のみです。
【公共事業の場合】持ち家からの立ち退き拒否は困難
区画整理や再開発などによって、行政に持ち家からの立ち退きを求められた場合、それを拒否し続けることは困難です。なぜなら、このような事業は知事や国土交通省の許可を得て行われるもので、法律による土地収容が認められており、実行の強制力が非常に強いためです。
行政からの求めを拒否して建物に住み続けた場合には、強制執行によって、強制的に退去させられてしまう可能性もあるので注意しましょう。
とはいえ、立ち退きを求められてすぐに自宅を離れる必要はありません。新居探しや引っ越し準備はもちろん、立ち退き料をはじめとした相手側との条件交渉にも一定の時間は必要であり、それは行政側にも認められるはずです。
また、この交渉で提示された条件に納得できない場合、住人は立ち退きを拒否することも可能です。しかし強制執行の可能性を踏まえると、居座り続けることはできません。
よって、重要なのは、強制執行を受ける前に条件の落とし所を探ることだといえるでしょう。
【借地契約解除の場合】「正当の事由」がなければ拒否は可能
土地を借りている地主から立ち退きを求められた場合、「正当の事由」がなければ、住人は立ち退きを拒否することが可能です。なぜなら、借地借家法にて、賃貸人(地主)による賃貸借契約の解除には「正当の事由」が必要である旨が示されているからです。
ここでいう「正当の事由」とは、立ち退き要請の正当性のことを指します。これは、賃貸人(地主)の事情と賃借人(住人)の事情、また立ち退き料の支払いとその金額を踏まえ、判断されます。
例えば、地主に差し迫った土地利用の必要性がなく、病気などで住人の転居が困難な場合では、「正当の事由」は認められにくくなり、住人は立ち退きを拒否できる可能性が高いと考えられます。
ただし、家賃の不払いや迷惑行為など、住人に著しい契約違反がある場合には、地主は強制的に賃貸借契約を解除することが可能です。
立ち退きを要求されたら行うこと
行政や賃貸人から立ち退きを要求された場合には、すぐに了承して立ち退くのではなく、次の行動を取ることを検討しましょう。
・すぐにOKしない
・交渉を行う
・立ち退き問題に強い弁護士へ相談する
上記3つの行動について、詳しく解説していきます。
すぐにOKしない
立ち退きを求められた場合には、それが行政による公共事業による場合でも、地主による借地契約解除による場合でも、すぐにOKすることはおすすめできません。立ち退きを了承するかどうかは、双方間の交渉による条件の内容によって決めるべきだからです。
賃借人がすぐに立ち退きを了承してしまえば、行政や賃貸人は立ち退き条件を優遇する必要がありません。それでは、相手の都合で立ち退くことになる住人が、十分な補償を受けられなくなる可能性があります。
前述のとおり、公共事業による立ち退きに関して拒否を続けることは困難です。しかし、立ち退きを求められた時に一旦は検討する姿勢を見せることで、住人が受けられる補償はより良い内容になる可能性があります。
交渉を行う
立ち退きにあたっては、立ち退きを要求する側が要求される側に対し、立ち退き料を支払うのが合理的です。
この立ち退き料については、双方間の交渉によって話し合い、具体的な金額を決めることになります。そしてその金額は、持ち家の一軒家の場合、建物の解体や再建築、引っ越しなどにかかる費用相場をもとに、算出されます。
十分な補償を受けるためにも、立ち退き交渉は非常に重要です。
交渉の際には、根拠をもとに各費用の相場額を明確に提示し、立ち退きに伴う迷惑料も請求するようにしましょう。また、相手が立ち退き料の金額を提示してきた場合には、それが相場に対して適正かどうか確かめることも大切です。
立ち退き問題に強い弁護士へ相談する
立ち退きにあたっては、相手との粘り強い交渉が必要です。それに加えて求める立ち退き料の相場を計算したり、場合によっては「正当の事由」への該当性についても判断したりしなければなりません。
これを、立ち退きや交渉の経験がない方が行うのは困難です。
この問題を解決するためには、不動産問題の実績が豊富な弁護士へ相談することを検討しましょう。
弁護士は、法的知識と経験により、適切な立ち退き料の金額や「正当の事由」への該当性を正しく判断することができます。説得力のある交渉により、より有利な条件を引き出すことも可能でしょう。
また、弁護士による代理交渉は、住人の精神的・体力的負担の軽減にも有効です。
自分の負担を抑えながら、納得のいく条件で立ち退くためにも、弁護士のサポートは積極的に受けるようにしてください。
有利に立ち退く2つの方法
より有利な条件で持ち家から立ち退くには、「権利変換」と「立ち退き料の受け取り」という2つの選択肢があります。
方法1:権利変換
持ち家からの立ち退きにあたっては、権利変換を選択できるケースがあります。
【権利変換とは】
「権利変換」とは、所有している土地や家から立ち退く代わりとして、その場所に新しく建てられる不動産の権利(所有していた土地や家と同等分)を得られる手続きのことを指します。
例えば、マンションを建てるための再開発事業によって3,000万円相当の土地・住宅からの立ち退きを求められた場合、権利変換を選択すれば、その住人は新しく建ったマンションの3,000万円相当の部屋を手に入れられる可能性があります。
この方法では、一時的にその場所を離れる必要があるものの、工事が終わった後には住んでいた地域に戻ってくることが可能です。
ただし、権利返還が可能なのは、所有していた土地・住宅と同等の権利のみ。例えば3,000万円相当の土地・住宅から立ち退いて、6,000万円相当の部屋を手に入れることはできません。
よって、権利に不均衡が生じる場合には、権利変換を選択することはできません。
方法2:立ち退き料をもらう
個別のケースによりますが、立ち退き料がもらえることもあります。
例えば、公共施設を整備する土地区画整理事業や道路を建設する都市計画道路工事による立ち退きでは、後にマンションなどが建つわけではないため、権利変換は行えません。この場合、立ち退く住人に対しては、行政から立ち退き料が支払われることが多いです。
また、地主の借地契約解除による立ち退きでは、「正当の事由」が必要になります。
立ち退き料は、この「正当の事由」を補うために支払われることもあります。借地借家法では、立ち退き要請をする側の「正当の事由」が不十分である場合、財産上の給付(立ち退き料の支払い)で「正当の事由」を補うことできると定められているためです。
ここまで述べたとおり、支払われる立ち退き料の金額は交渉で決まります。相手側が金額を提示してきてもすぐに承諾するのではなく、一度は保留し、その金額が相場に対して適正かどうか確認するようにしましょう。
持ち家からの立ち退き料の「相場」
個別のケースにもよりますが、持ち家からの立ち退きで支払われる立ち退き料には、次のような費用項目が含まれます。
・土地の売買費用
・建物の解体・移転費用
・新たな建物の建設費用
・引越し費用
・一時的に住む住居費用 など
土地の価格は、地域の公示価格や基準価格から決めることになります。立ち退きに際し新たに家を立てる場合の建設費用は、立ち退いた建物に相当する金額が支払われます。つまり、立ち退く建物を超える金額が、新たな建物の建設費用として支払われることはありません。
対象の建物やそれが建っていた場所によって、支払われる立ち退き料は大きく変わります。よって、持ち家からの立ち退き料については、明確な相場を述べることは難しいと言えるでしょう。
個別具体的な金額に関しては、立ち退き料増額の無料相談をご利用下さい。
まとめ
持ち家からの立ち退きには、公共事業によるものと地主の借地契約解除によるものがあります。
このうち、公共事業による立ち退き要請は強制力が高く、住人が要請を拒否し続けることは困難です。一方、地主の借地契約解除の場合、「正当の事由」の有無によって、立ち退きを拒否できるかどうかが異なります。
また、立ち退きを受け入れた住人に対しては、多くの場合、「権利変換」または「立ち退き料の支払い」が行われます。十分な補償を受けるためにも、まずは弁護士に相談しましょう。
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記事監修 : 代表弁護士 大達 一賢